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今のは夢――だったのだろうか?
あなたは、街を一望できる小高い丘の上で目を覚ましていた。
眼下に広がる街明かりは、あの不思議な風俗街のもの。
体は――元通り。
手も足もちゃんとあり、何事もなかったかのように動かすこともできる。
そう、まるで何事もなかったかのように。
さっきのは夢? それとも幻?
いや、あのリアルさが嘘のはずはない。
この世界の輪廻は崩れ、肉体も魂も巡らない。
それは、永遠に続く快楽の世界。
あなたはもはや、正常な輪廻に戻ることができない。
例え妖魔の糧となったとしても、この世界に囚われ続けるのみ――
そんな事実を、今のあなたは理解することなどできなかった。
ただ、明かりの方向へ――不思議な風俗街へ戻るより他にないのである。